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ボッチャが築く地域間交流

伊東市のボッチャの取り組み

2021年に開催した東京パラリンピック2020競技大会において、伊東市民である杉村英孝選手はボッチャの個人BC2クラスで金メダルを獲得し、伊東市ではじめての名誉市民になりました。私自身、自分の街から金メダリストが出たということにとても興奮し、ボッチャへの関心が高くなりました。
2022年の初めころJTBのスポーツビジネス共創部よりJTB静岡支店でお付き合いがある吉田さんを通じ、パラリンピックスポーツのレガシーを作る活動として伊東温泉とボッチャを掛け合わせて、温泉卓球のように気軽にパラスポーツに触れられる「温泉ボッチャ」を広めることができないかというものでした。

https://www.jtbcorp.jp/jp/jtbeing/2023/02/01.html

その年観光庁の「地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出」事業の採択を受け、伊東市ならではのコンテンツを磨き上げ、看板商品として商品化する事業に温泉ボッチャ、スポーツまくら投げ、星空浴ナイトツアーの3つのコンテンツの磨き上げに取り組みました。(スポーツまくら投げ、星空浴ナイトツアーについては別の機会に取り上げたいと思います)
JTBのスポーツビジネス共創部の協力のもと、2023年1月にパラスポーツの活動やスポーツビジネスを行っている企業に参加頂き、モニターツアーを開催しました。チームに分かれてボッチャ大会を行ったほか、杉村さんが所属する伊豆介護センターを訪問し、どのようにボッチャを普及させるかをグループディスカッションで検討し、名だたる企業のパラスポーツへの取り組みを理解するとともに、多くの方のアイディアに触れることができ、学ぶことができました。

その他の活動としては、伊東市内で開催するマルシェや地域のイベントにボッチャ体験コーナーを開設し、ボッチャに触れて頂く機会を創出することに努めています。
ある旅行社の伊東市へのツアーのオプションとしてボッチャ体験コーナーを提供させてくこともできました。

川崎市幸区との出会い

2023年になり、継続して地域イベントでのボッチャ体験は続けておりますが、なかなかそれ以上の取り組みができずにいました。そんな折、JTBの記事をみたという川崎市幸区のまちづくり推進部地域振興課の蔡さんがJTBスポーツビジネス共創部を通じて、私たちに協力依頼を頂きました。
川崎市幸区では11月下旬に第2回の区民ボッチャ大会を開催するところで、昨年の第1回大会は全32チームのトーナメント戦だったところ、今年は規模を拡大し、64チームのトーナメント戦を開催するとのことでした。しかも64チームに対し、応募チームは78チームで、応募しても全チームが出場できないほどの人気ぶり。主催の幸区ボッチャ大会実行委員会は、幸区町内会連合会、幸区社会福祉協議会、幸区民生委員児童委員協議会、幸区スポーツ活動連合振興会、幸区スポーツ推進委員協議会、幸スポーツセンター、幸区役所から構成されており、特に幸区では町内会の加入率が市内で最も高い60%以上で市民が町内会活動に積極的に関わっている土地柄もあり、これらの団体を通じて広く区民に参加を呼び掛けていました。
私に1つの疑問がありました。なぜ川崎市幸区でボッチャがそれほど熱心に取り組まれているのか?後に聞いたところ川崎市幸区とボッチャの繋がりは東京パラリンピックがきっかけだったそうです。川崎市が市内の学校や区民センター、スポーツセンター等にボッチャのボールやコート等の用具を導入し、一部の施設では定期的にボッチャができるように開放したり、指導員がボッチャ普及のための指導を行ったりしているそうです。
この地域振興課の蔡さんからの連絡がきっかけで、私たちは地域同士がボッチャを通じて交流を深めることができるという新たな可能性の機会を得ることになりました。伊東温泉でボッチャの取り組みに協力頂いている暖香園ホテルさんにご協力をお願いし、今回の幸区ボッチャ大会の優勝賞品に暖香園ホテルの宿泊券を提供して頂くことができました。ボッチャ大会は11月26日(日)10:00~17:00です

川崎市幸区ボッチャ大会

2023年11月26日(日)ボッチャ大会当日、私は自分のペンションのチェックアウトを終えて、急ぎボッチャ大会会場の川崎市幸区スポーツセンターに向かいました。

会場に着いたのは14:00頃、トーナメントの2回戦が繰り広げられているところでした。2023年11月26日(日)ボッチャ大会当日、私は自分のペンションのチェックアウトを終えて、急ぎボッチャ大会会場の川崎市幸区スポーツセンターに向かいました。
会場はバスケットコート2面くらいの体育館の4隅にコートが設置されており、4コートで試合が開催されていますが、コートとコートの間が広く開いているので人の行き来や観戦がとてもしやすい配置になっています。

会場の2階にも多目的室があり、そこでは自由にボッチャ体験ができるようなハーフサイズのコートが5面程度設置されている他、パソコンを使って遠隔操作でボッチャができるオンラインボッチャの体験コーナーがあり、実際に体験をさせて頂きました。

試合について解説すると、3人1チームで対戦しますが、3ゲームの合計点で争われ、3ゲーム終了時点で同点の場合、延長1ゲームの点数で勝負を決定します。
コートのサイズは3m×6mのハーフサイズです。
一番驚いたのは各コードを運営する審判です。1コートに6名~8名はいるでしょうか。こんなに多くの審判をどうやって確保したのか、とても気になりました。
大会前に審判養成講座を開催し、70名くらいの方が受講し、当日の大会にボランティアで参加しているようです。皆さんの多くは社会福祉協議会や民生委員、またそれらの団体からの呼びかけで集まった方たちのようですが、かなりの組織力だと感じました。
誰でも気軽に楽しめるボッチャではありますが、さすがにベスト4くらいになると、かなりのハイレベルな戦いで、良い投球にギャラリーも声を上げたり、感心したりとかなりの盛り上がりになりました。私も2回戦で見つけたお父さんと2人の姉妹の3人組のご家族に注目し、観戦していましたが、6歳前後であろう女の子のナイスプレーに引き込まれ、推しチームとして見ていました。残念ながら準々決勝で優勝チームに敗退してしまいましたが、見ている人も思わず応援したくなる子供たちもたくさん参加していたのが印象的です。
会場では幸区長とも歓談させて頂き、ボッチャを通じた地域交流の可能性を改めて痛感しました。

決勝戦は息詰まる戦いになりました。昨年の優勝メンバーを含む男女混成、年齢もバラバラのボッチャサンダース対社会福祉協議会が開催するボッチャ講習会が縁で20名くらいの仲間と一緒にボッチャに励んでいる団体から参加したG3との決勝戦は、1ゲーム目にボッチャサンダースが2点を先行し、このままいくと思われた2ゲーム目でG3が4点を取り逆転し、最後のゲームも更に4点を追加し、8-2のスコアで優勝を飾りました。
本当に謙虚なメンバーで、大会にも全く気負わず無欲を徹底し、優勝までこぎつけたそうです。優勝賞品の暖香園ホテルの宿泊の際には、伊東でボッチャ交流をお約束して僭越ですが、プレゼンターを務めさせて頂きました。
写真は左からJTBスポーツビジネス共創部の大谷部長、JTB川崎支店大橋支店長、優勝チームG3の松下さん、漆原さん、中村さん、私利岡です。
中でも漆原さんが普段の練習会のスコアを記録し、メンバーと共有するようになり、レベルが上がったというお話しを聞いて、とても素晴らしい取り組みだと感じました。

これからのボッチャ

今回の川崎市幸区とのご縁と大会の視察を通じ、多くの刺激と学び、それから地域間交流の1つのカタチが見えました。川崎市ではボッチャの普及のために市内の学校や公共施設に用具を導入し、指導員による講習会を積極的に開催しています。それがこのような大きな区民大会を開催できるほどに広がっています。
健康的な市民生活の実現や世代間交流にボッチャはとても良いツールだと思っています。また、川崎市幸区を始めとしたボッチャを通じた地域間交流で伊東市を知ってもらうことで、伊東市への観光や、企業のワーケーション利用、サテライトオフィス等の可能性も広がってくると思います。
伊東市とも協力し、ボッチャの普及に努める他、川崎市幸区を見習い、大会の開催が次の目標です。その先には金メダリスト杉村英孝選手を擁する伊東市で市民ボッチャの全国大会を開催する日が来たら、本当の意味でボッチャを通じた街づくり、持続可能な観光地域づくりができのかもしれません。まだまだ楽しいことができそうです。

 

書いた人
一般社団法人伊豆高原観光オフィス
利岡正基

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