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伊東からみる「月」

伊東の「宝物」としての月

伊東観光ブランドブックでは、なにかと別の地域として語られることの多い、伊東市の3つのエリア「宇佐美」「伊東市街地」「伊豆高原」(実際はもっと細かく分かれている)の共通のシンボルとして「朝日」が設定されました。
実際、伊東に限らず、東伊豆の各町から見える朝日はとても綺麗で、元旦の初日の出は多くの人が東伊豆に集まります。
伊東のほとんどの地域からは相模灘の東から昇る太陽を見ることができます。

毎朝繰り返されるその日の出は、海に近い宇佐美の朝の空気と、伊東温泉に代表される伊東市街地の空気感と、城ヶ崎や大室山など自然豊かな伊豆高原の空気感は、それぞれに美しい朝日の光景を感じることができて、朝日が伊東の宝物のひとつという意味がとてもよくわかります。
施設によっては、朝日を見ながら温泉に入れるところもあるようです。
一日の始まりを朝日と温泉で迎えるのはすごく特別感があって、ゆったりとした日が過ごせそうです。

しかし、太陽だけではなく、同じく相模灘から昇ってくる「月」も美しく幻想的で、特別な空気感を伊東の至るところに作り出しています。
この「月」も伊東にとっての、とても大切な「宝物」ではないでしょうか。

太陽も天候によってその表情は異なりますが、「月」はその形も光も現れる時間も毎日異なります。
それが返って、刹那的で、はかない夢の様にも見えて、ますます大切なものという気持ちを醸成させます。

生活をしていると、太陽も月もあまり気にせず過ごすことが多いと思いますが、ちょっと気にして「月」を見ると心の琴線に何かがじわっと触れるのがわかります。

毎日表情を変える月

月とその魅力は古代より多くの人に愛され、特にスピリチャルでマインドフルネスな人たちは、その魅力をとても理解しています。

ちょうど海から月が昇りはじめて、その月光が海面に反射して、きらきらとゆらめいているその状態を「ムーンロード」と言います。月の明かりと海面の明かりが作り出す不思議な雰囲気は空に浮かぶ月とはまた違う雰囲気です。
この「ムーンロード」を観光として売り出しているのは、伊東市のとなり町である「東伊豆町」です。
残念ながらムーンロードという言葉は商標登録されてしまっているので、気軽に使うことはできないのですが、水面に月光が映し出されて輝く光景は、きっと誰もの心を瞬間にでも清らかにすることが出来そうです。

ムーンロードはそれを見る条件が揃わないと見ることができません。
一般にその条件は以下のように言われています。

・晴れていること
・反射する海面や水面などがあること
・その海面・水面がおだやかなこと
・月が水平線に近い位置にあること
・満月の前後3日が美しいムーンロードを見ることができる

満月は、ムーンロードを見る必要条件ではありませんが、満月の時とそうでない時の光の強さはまったく異なります。きれいなムーンロードを見たい時は、やはり満月の方が想像を超える美しいムーンロードを見ることができます。
そして、満月はちょうど良い時間に東の空から昇ってくるので、ムーンロードを見るにはとても良い条件になります。

いずれにしても、雲が出てしまうとせっかくの月が見られません。
こればかりは運なので仕方ないのですが。

しかもムーンロードは海面に近いところよりも小高い山からの方が、光の道が長くなってよく見えるのです。
高さが3m違うだけで、ムーンロードの見え方が変わってくるので、その違いを確かめてみてください。

2024年の満月

2024年の満月の日は以下のようになります。

1月26日(金)  月の出17:28  日の入17:05
2月24日(土)  月の出17:19  日の入17:33
3月25日(月)  月の出18:01  日の入17:59
4月24日(水)  月の出18:48  日の入18:23
5月23日(木)  月の出18:43  日の入18:46
6月22日(土)  月の出19:40  日の入19:00
7月21日(日)  月の出19:13  日の入18:54
8月20日(火)  月の出19:01  日の入18:26
9月18日(水)  月の出17:57  日の入17:46
10月17日(木) 月の出16:53  日の入17:06
11月16日(土) 月の出16:38  日の入16:37
12月15日(日) 月の出16:08  日の入16:33

いずれも黄昏時から夜にかけての時間帯に東の空に月が昇って来ます。

日の入り時間も見ると、ちょうど月が昇るのと同じくらいに太陽が沈むので、薄暗くなりはじめた時間から、だんだん暗くなっていって、月の光が海に反射するのが綺麗に見える変化を楽しむことができるのが満月の日なのです。

月の呼び名

月は30日でその形を変えて、もとに戻ります。
その月の形にそれぞれ呼び名があります。

今までなんとなく聞いてことのある呼び名でしたが、実際にどんな呼び名があるのか調べてみました。
30日すべてに名前があるわけではないようです。
もっと色々な呼び名があると思いますが、代表的なものは以下の通りです。

一夜:新月(しんげつ)または朔(さく)ともいいます。1日目のことを月立ちといい、それが「ついたち」なったともいわれます。
二夜:二日月(ふつかづき)繊月(せんげつ)ともいいます。繊維くらの細い月なので繊月というそうです。
三夜:三日月(みかづき)眉月(まゆづき)ともいいます。弓形の美しい月の形をしています。パンのクロワッサンは三日月のことをいいます。
七夜:上弦の月(じょうげんのつき)7夜から8夜のことを半月(はんげつ)といいます。上向きに弓の弦が張られている様なので上弦の月といいます。
十夜:十夜月(とおかんや)10日目くらいの月をいいます。特に10月10日のとおかんやは、豊作を願う行事をしていたそうです。
十三夜:十三夜月(じゅうさんや)13日目の月は、満月の次に美しいといわれていたそうです。完璧に少し足りないのが美しいと思う感性は日本人の独特なものでしょうか。
十四夜:待宵月(まちよいづき)十五夜の満月が待ち遠しいので待ち宵というそうです。また満月をいう望月に少し小さいので小望月(こもちづき)ともいうそうです。
十五夜:望月(もちづき)15日目の月が満月になります。満月のことを「望(ぼう)」といいます。望は、背伸びをして遠くを見るという意味が形になったものです。偉大や豊満のことを望(ぼう)と表したことが語源になっているとか。
十六夜:十六月(いざよい)十五夜よりも、少し遅れて出てくることから、「ためらう」という意味の「いざよい」というそうです。
十七夜:立待月(たちまちづき)十六夜の月よりもさらに出るのが遅くなり、月が出るのを立って待つので、立ち待ち月というそうです。
十八夜:居待月(いまちづき)十七夜の月よりもさらに遅く出てくるので、座って待とうというので、居待ち月というそうです。
十九夜:寝待月(ねまちづき)十七夜よりもさらに遅く出てくるので、寝ながら待とうというので、寝待ち月というそうです。
二十夜:更待月(ふけまちづき)夜が更けるまで月が出てこないので、更け待ち月というそうです。
二十三夜:下弦の月(かげんのつき)下にむかって弦が貼られているような月なので、下弦の月といいます。ここからもっと月が細くなっていきます。
二十六夜:有明の月(ありあけのつき)有明(夜明け)頃に昇ってくる月なので、有明の月といいます。
三十夜:三十日月(みそかづき)月がこもる「みそか」の日なので、みそかづきといいます。毎月、月が終わる日のことを「晦日(みそか)」と言いました。その一年の最後の日のことを「大晦日(おおみそか)」といいます。

ネイティブアメリカンの月の名前

最近、ニュースでも満月のことに触れるたびに、満月の別の言い方を付け加える時が多くなります。「ブルームーン(月に二回満月があること)」や「コールドムーン」など、聞いたことがあるかと思います。
これはアメリカのネイティブアメリカンが呼んでいた、季節を表す月の名称です。
以下のように呼ばれているそうです。

1月 ウルフムーン:狼が真冬で餌がなく空腹で遠吠えをする時期
2月 スノームーン:太地が雪で覆われる季節で食料に困る時期ハンガームーンとも呼ばれる
3月 ワームムーン:雪が溶けて地面から虫が顔を出す時期
4月 ピンクムーン:フロックスというピンクの花が咲く時期
5月 フラワームーン:暖かくなって花が一面に咲く時期
6月 ストロベリームーン:イチゴの収穫ができる時期
7月 バックムーン:雄の鹿のツノが生え変わる時期
8月 スタージョンムーン:チョウザメ漁が最盛期の時期レッドムーン
9月 ハーベスタムーン:とうもろこしなどの作物の収穫の時期コーンムーンとも呼ばれる
10月 ハンターズムーン:野生の動物の狩猟の時期。冬に備えて保存食を作る時期
11月 ビーバームーン:防寒用にビーバーを捕らえる時期。ビーバーもこの頃に巣作りをする
12月 コールドムーン:本格的な冬が到来する時期。

ネイティブアメリカンの人々は、満月を起点に季節の到来を感じていたのですね。

カレンダーとスケジュールと季節と自然

Googleカレンダーで毎日を管理する日が続いてしまい、天気や天候や気温、風、湿度、太陽、月、星などから得られる情報が極端に少なくても生活が出来ていることがわかりました。
12月だからなんとなく寒いのだな、4月だから春になったのだなと思考で理解するのでなく、実際に見える太陽や月で、今の自分の立ち位置を知ることがとても大切だと、月のことを調べながら、ふと考えました。
そんなことのきっかけにするのにも、伊東で月をじっくりと見て、自分のこと、社会のこと、人間のことなどを考えるのもいいかも知れません。

書いた人
株式会社カラーコード
浅井由剛

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