伊東を掘りおこそう!

ブログ

伊東市観光ブランドブックモニターツアー開催されました

2021年12月6日〜7日、伊東市内の観光事業者向けに伊東市観光ブランドブック(以下ブランドブック)モニターツアーが開催されました。主催は伊東市ブランド研究会です。

お客様を迎える観光事業者こそが、今、改めて伊東の魅力に気がつくべきと、2021年5月に発行された「伊東市観光ブランドブック」のコンセプトに基づいたモニターツアーです。

伊東市ブランド研究会とモニターツアー

このモニターツアーの目的は大きく2つありました。

1つは、観光業に係る方々に、ご自分のエリア以外の伊東の魅力を感じてもらうこと。もう1つは、同じ観光事業者どうしの交流を深めることです。

そのため、今回は伊東市街地と宇佐美地区の観光事業者が、伊豆高原地区を訪れるという試みになりました。

参加者はスタッフを含めて27名、ペンション、ホテル、旅館、貸別荘、交通機関、観光関係者と伊東の観光事業に関わっている外部の人々です。

 

今回の企画の実現には旅行企画として株式会社JTB静岡支店も関係してますが、内容の組み立てや運営はすべてブランド研究会が担当。何度も討議を重ね、意見を出し合っての手作りツアーとなりました。

12月6日(月)

【新しいコワーキングスペース:エクレアホール】

1日目の会場となった「エクレアホール」は、伊豆半島全体でさまざまな事業を展開する株式会社栄協の施設。今までは葬祭場だったところ、2022年2月を目途にコワーキングスペースとしてオープン予定だそうです。

アゼリアという部屋は、ドロップインも可能なコワーキングスペースとなる予定で、上部階にある和室の個室は企業にオフィスとして貸し出す予定だそうです。

栄協では、エクレアホールを単なるコワーキングスペースにするだけではなく「大人の部室」のようにさまざまな人が集まり、交流する拠点にしていきたいと考えているとのこと。

その後、エクレアホールでこのコワーキングスペースにも関わっている森田創さんからの講話を伺いました。森田さんは東急電鉄が展開していた観光型MaaS(Mobillity as a Service)、IZKOのプロジェクトリーダーだった方で、現在、(合)うさぎ企画代表としてビジネスマッチングも手掛けています。作家としての顔も持ち、静岡県内の複数企業の社外役員も務めています。

森田さんは副業人材と企業のコラボという形で、今までに、伊東に本社を持つ地元銘菓の企業・石舟庵の新宿伊勢丹への初出展を可能にした話や、伊東はじめ伊豆半島の活性化には「関係人口をいかに増やすか」という視点が重要ということ、そのためには関係人口が交流できるスペースが必要であり、また、現時点で公的交通機関が少ない場所も自由に動ける足の確保=MaaSが必要であることなどをお話くださいました。

続いて、株式会社スマートホテルソリューションの代表取締役・高志保博孝さんからのお話をいただきました。同社はエクレアホール上部階の個室を契約済みで、伊東オフィスとするそうです。

高志保さんの会社は、ホテルのチェックインをAI認証でできるサービスを展開しています。しかも、ただ顔認証でチェックインできるだけにとどまらず、その後、たとえばMaaSなどで移動する際のチケットも同じ顔認証システムを組み込むことで、お客さんの行動パターンを追うことができ、それらのビッグデータを活用することで、新たな観光サービスを生み出せる可能性などについてお話しいただきました。

すでに各地で実証実験も行っており、たとえば隠岐の島では入島時に顔認証システムを使い、その後の行動データを取っているそうです。

このあと、各宿にチェックイン。夕食は伊豆高原駅裏にある「ミクニ伊豆高原」のフルコースでした。この店は「オテル・ドゥ・ミクニ」のシェフ、三國清三氏がプロデュースし、建物は隈研吾氏が設計した伊豆高原の新しいシンボル。内装もサービスも、もちろん伊豆の食材がふんだんに使われた料理も素晴らしく、各テーブルでの会話も弾み、交流が図られました。

夕食後はDHC赤沢温泉に向かい、日本4位ともいわれる湯量を誇る伊東の湯に浸かり、日頃の疲れを癒やしました。

その後、各宿では参加者による自主的交流会が盛り上がった模様です。

12月7日(火)

【朝日浴でエナジーチャージ?!】

この日は6時15分からプログラムが予定されていました。

それは「朝日浴」!

今回の宿はすべて、オーシャンビューで東に向いている宿がセレクトされていました。

ブランド研究会では2021年5月に発行した「伊東市観光ブランドブック」で、伊東市のブランドロゴを発表しています。それは相模灘から昇りゆく朝日をモチーフにしたものです。海から昇る朝日に一日の始まりを感謝し、立ち向かっていく元気をもらう。それは3000年もの間、伊東に暮らす人々が繰り返してきた大切な習慣です。

朝日に向かいあい、自然の雄大さを感じながら伊東市の魅力を再確認するために、朝日浴を組み込んだのです。

宿泊施設は「シャトーシャングリラ」「ホライゾン」「リバティーヒル」「FUTO HOUSE 一本のえんぴつ」です。

あいにくこの日は雲が多かったのですが、逆に重なり合う雲の隙間から差し込む朝日が非常に神秘的な光景を見せてくれました。

【ジオテラス伊東でのジオ学習】

ここで、今回のモニターツアー運営を手掛けたブランド研究会の一員であり、ジオガイドでもある「星野リゾート界伊東」の逸見康成から、ジオサイトとしての伊東および伊豆半島の特異性と魅力について話を聞きました。

ジオというと地形のことだけがクローズアップされがちですが、もともとはその土地の文化や産業などすべてを含んでの意味があります。

プレートの動きとともに、遠く硫黄列島近辺から北上し、本州にぶつかってできたのが伊豆半島。地球の成り立ちを知ることができる場所でもあります。

修善寺にある「伊豆半島ジオパークミュージアム ジオリア」で上映されている動画を用いながらの解説に参加者は感心しきりでした。

続いて「海と大地のリトリート」でダイビングガイドおよびセラピストとしても活躍している亀井由香さんから、ダイバー以外ではなかなか見ることができない伊東の水中風景を、動画と解説で紹介していただきました。

溶岩が流れ込み作られた海底地形と、そこに暮らすさまざまな生きもの。ウミトサカやヤギといった腔腸動物と、そこに身を寄せる魚たち。色とりどりの風景が広がる様子に「一度潜りたい」「ツアーコンテンツとして考えたい」などさまざまな声が上がりました。

【城ヶ崎海岸ジオウォーク】

約1時間半ぐらいかけて、八幡野港へむかい、自然研究路を歩きます。

八幡野港の沖に見えるブロックを積み重ねたように見える2つの島、前の島と沖の島は地元の小学生が泳いで登ったりするおなじみの場所。このブロック状の岩は、実は大室山から流れ出た溶岩が海水で冷え固まって柱のような形となった柱状節理。こんな風に市民におなじみの場所が珍しいものだったりします。

少し進むと「堂の穴」と呼ばれる洞窟があります。ここには三十三観音や弘法大師の石仏、供養塔、稲荷大明神の祠がいくつも並んでいます。ここは現在、八幡宮来宮神社に祀られている神さまが最初に海から流れ着いた場所と言われています。お酒が大好きな神様で、遠くを漁船が通ると「酒を祀れ」とたびたび催促するので、困った漁師たちが海の見えない場所として現在の八幡宮来宮神社に遷座させていただいたということです(遷座した先でも、さらに海の見えない場所に再度遷座しています)。

さらに自然研究路を進んで橋立吊橋をわたります。天然のタイドプールである大淀・小淀(ここも柱状節理でできています)を見下ろして、次の目的地・りんがふらんか城ヶ崎文化資料館へ。

要所要所で逸見さんや亀井さんの解説があり、ただ歩いているだけでは分からない地形の面白さに参加者一同ワクワクさせられました。

【りんがふらんか城ヶ崎文化資料館】

・箱寿司

今回のツアーのために特別に作っていただいた箱寿司。伊東の郷土料理です。かつてはお祭りのときなどに作り、親戚や親しい家と交換し合ったもので、酢飯に魚のおぼろ(そぼろ)が載っています。何の魚を使うかは地区により異なりますが、多くはサバ、アジなどを用いたそうです。今回はサバと、特別にキンメダイの2種類で豪華に仕上げていただいていました。野菜、すし酢、赤だしの味噌汁の具であるふのりまでも伊豆の食材を用いており、素朴ながらも滋味深いお弁当に舌鼓を打ちました。

・和―ケーションお茶会

伊東市川奈の「加藤美建」の社長・加藤和司さんは加藤艸山の号を持つ茶人。なんと、茶の湯を日本各地だけではなく世界にも広めるために組み立て式の茶室を開発しました。組み立て式にしたことで茶室を建設するよりもコストが掛からず、どこででも茶室の雰囲気を味わいながら茶の湯体験ができるのです。もちろん、ただ組み立てればいいわけではなく、美意識がないといいものできないとのこと。柱一つとっても丸太を使い皮をわざと残してわびさびを表現するなど、茶人だからこその美意識が詰まった組み立て茶室なのです。せんだってはロシア大使館からの依頼でロシアまで茶室を運んだそうです。

実際、あまりに建物内に溶け込んでいるので組み立て式だとは聞かないと、和室が建物内にあるのかと思ってしまいます。

艸山さんのお話を伺ったあとは、石舟庵が、和菓子には使うのが難しいと言われている柚子をあんこに練り込み、白砂糖を使わず麹の甘みで仕上げた新作和菓子をいただきながら、お茶を点てていただきました。

【振り返り&シェア】

伊東市の新たな魅力を知った2日間。感想を一言ずつ述べました。

「普段会うことができない同業者と話し合えたことは収穫」

「ホテルに勤めているが、ペンションではこういう風にサービスしているのかと参考になった」

「伊東に住んでいてもなかなか知る機会がなかったジオのことがよく理解できた」

「伊東の魅力を再発見できた」

「仕事的には伊東全般を移動してあちこち見ているが、それでも知らないことがまだまだあるなと感じた。魅力を発信していくことも重要だと思った」

「ワーケーションにはネット環境の整備は不可欠だということが分かった。もう一度自分の施設でネットの整備を訴えてみようと思う」

などの声が上がりました。

ブランド研究会スタッフからは「カンフル剤のような、たくさんのお客が一瞬来るような観光施策はいろいろあるが、自分たちがやっているのは時間をかけて、伊東の魅力を掘り起こし伝えていく形の観光活性。そのために、参加してくださった観光関係の皆さまが、仲間に『モニターツアーに参加して伊東のこんな事知ったよ、良かったよ』と伝えていただければもっと広まると思う。ぜひその役割をお願いしたい」というメッセージも伝えられました。

最後に全員がツアーに参加して感じた伊東の「癒やし」「発見」「学び」を書き出し、シェアしあい、解散となりました。

次回モニターツアーは1月17日〜18日に開催予定です。

今度は伊豆高原の観光事業者が伊東市街地や宇佐美を訪問する予定です。

関連記事

PAGE TOP