伊東を掘りおこそう!

伊東の宝物

なぜ木が生えていないのか大室山

唯一無二 伊東市民の誇り

お椀をふせたような形で、標高580メートルと決して高くはないですが、圧倒的な存在感で全伊東市民の誇りとなっている大室山。市民以外でも、姿を見ればすぐに名前が浮かぶほど有名です。

大室山は、実は4000年くらい前に起きた、ただ一度の噴火でできた山(単成火山)です。粘り気のない溶岩が吹き上がり積み重なってできたスコリア丘です。この噴火の際に流れ出た溶岩は、城ヶ崎海岸に見られる柱状節理など珍しくダイナミックな景観をも作り出しています。

大室山は景観だけではなく人々の生活の一部として活用されてもいました。その一つが山に生えている茅の利用です。大室山の茅は、屋根を葺く、堆肥にする、牛馬の餌に使う、俵を作るなど生活のあらゆる場面で使われていました。当時の人々は茅を育てる場(茅場)をいくつか作り、大室山もその一つだったのです。雑草や木が生えると良質な茅を取りづらくなるので、毎年茅の根を残し地上の草をすべて焼き払う山焼きが行われてきたのです。

しかしだんだんと生活の中で茅を使うことも少なくなり、昭和30年代を最後に山焼きは途絶えました。しかし、この山と伊東の歴史や観光財産としての大室山を大切に思う池地区の人々が「大室山山焼き保存会」を結成し、1980年(昭和55)から観光行事として山焼きが行われるようになり、現在まで続いています。

古くからのやり方を守りながら、最大の安全対策を取り行われる山焼きは、その勇壮さもあり毎年約3万人もの人々が訪れる一大行事となっています。その陰には、大室山が心のよりどころであり、また誇りとして大切に思う伊東市の人々の努力があるのです。

頂上には噴火口に沿って道があり、お鉢めぐりができる

山焼きが開催されると春になると言われるように季節行事になっている

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