伊東を掘りおこそう!

歴史

鉄それは権力の証 宇佐美氏と鉄の関わり

製鉄の条件に恵まれた宇佐美に今も残る製鉄遺跡

かつて、鉄は権力や近代化の証とも言えました。武器として、道具として、鉄が生まれたことで人間の生活は飛躍的に進歩したのです。諸説ありますが、日本では弥生時代から製鉄が行われたといわれています。伊豆半島にはいくつかの製鉄遺跡があり、伊東市内には9カ所あります。これらは宇佐美に集中しています。製鉄には熱で溶融させて鉄を取り出す砂鉄と、燃料となる木炭、炉を作る耐火粘土が必要ですが、宇佐美にはこの3つが揃っていたのです。宇佐美の金草原遺跡では、地中から2メートルもの鉄滓(鉄にならなかったくず)の層が発見されています。燃焼を激しくさせるために風を送ったふいごの羽口(ふいごから炉に風を送り込む管)も見つかっており、当時の人々が何を作っていたのか想像が膨らみます。

この製鉄施設は誰が何のために作ったものか、現時点では分かっていませんが、ここから発掘された陶磁器の様子から平安時代末期〜鎌倉時代初期に作られたものであり、当時、宇佐美で一番の権力者といえば、伊東氏と並んで幕臣として活躍していた宇佐美氏であることから、宇佐美氏が関わっていた可能性が高いのではと推察されていますが、正確なことは今後の調査を待つばかりです。

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